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本好き、音楽好き医大生女子の日々

実況・料理生物学

 

 

実況・料理生物学 (文春文庫)

実況・料理生物学 (文春文庫)

 

 

 

先日久しぶりに本を読んだ。ゆっくりと読書なんていつぶりだろう。もともとは読書好きであったが、勉強にその時間を奪われてかれこれ2年が経つ。本当はもっと本を読みたいものだ。村上春樹の新作の発売日が国立大入試前日というのは大きな痛手であった。ゆっくり読書に耽って気が向いたら僭越ながらそちらの書評も書きたいところだ。

 

さて、この本は私が駿台予備学校に通っていた時に師事していた英語教師の推薦書である。彼は英語教師でありながらあらゆる分野の学問に精通している(いったい何ヵ国語喋ることができるのか、未知数である...)。

 

 

 

私は以前から料理は科学であると思っていた。調理場はいわば化学反応の場であると。しかし、いったいどんな反応が中で起こっているのかは知らなかった。卵を熱すると固まるのはたんぱく質の変性だということは生物の授業で散々聞いていたくらいだ。この本にはカレー、麺、焼肉、酒、アイスなどなど「それも科学で考えるのか!」と思うものばかりが収録されている。

 

一方、生物学と聞いて敬遠した文系の方もおられるかと思う。しかし理系の私が無知である歴史的側面にも触れられていて文理問わず楽しめる書籍である(香辛料の歴史についてあまりに無知でお恥ずかしい)。

普段何気なく口にしている料理にはどのような歴史があり、食物のどのような特徴を生かしたものなのかがわかりやすく解説されていた。

 

なんといってもこの本の最大の特徴は台本のような形式で講義形式だという点だ。本を読みなれていない人でもこれなら読みやすいだろう。また、各料理毎に章立てされているため、読み止しもしやすい。

電車に乗るほんのわずかな時間に少しづつ読み進めるもあり、ベッドサイドで一気に読むのもまたあり、様々な楽しみ方で是非一度手に取っていただきたい。